【後編】

茜ちゃんの誕生日は5月でした。

2009年5月、茜ちゃんが亡くなってから
最初に迎えた茜ちゃん誕生日の数日後、

僕の妻のおなかに新しい命が
宿っていることがわかりました。

まるで茜ちゃんが「命のバトン」を
繋いでくれたように感じました。

僕たちが当たり前のように迎えていた
今日という1日は、
茜ちゃんがどうしても生きたかった
明日かもしれない。

そのことをしっかりと受け止めて、
毎日朝を迎えられることは
当たり前ではなく奇跡なんだと胸に刻みました。

無事に生まれてきてくれた
長男に命名する時も、その想いを込めました。

それからも毎年、
かい君の成長を撮り続けました。

かい君より3歳年下の僕たちの長男のことも
とても可愛がってくれて、
家族ぐるみで仲良く過ごしました。

かい君は、パパと二人で強くたくましく
成長していってたように見えました。

3歳、4歳、5歳…

毎年撮影のたびに会えて、
かい君の成長を見られるのが
我が子の成長と同じくらいとても嬉しかったです。

やがて小学生になり、
かい君はサッカーが大好きな少年になりました。

中学生になると、
サッカーの強い学校へ進学し、
親元を離れて暮らすようになりました。

それでも毎年帰ってくるたびに、
変わらず写真を撮らせてくれました。

高校生になったかい君は、
ますます逞しくなっていきました。

ちょうどその頃、守くんは、

茜ちゃんの全てを受け入れ、
想いを受け継いでくれる
素敵な女性・愛さんと出会い、結婚しました。

やがて、かい君に可愛い妹が誕生しました。

そしてこの春、 かい君は高校を卒業し、
大学への進学が決まりました。

新たな4人家族となってからも、
茜ちゃんの意志を受け継ぎながら、
ますます家族の絆が
強く、深く育まれているように感じます。

【僕が家族写真を撮り続ける理由】

それは、茜ちゃんとの約束があるから。

生きていると、辛いことや悲しい出来事もあります。

それでも、今日を生きられること自体が奇跡であり、
感謝すべきことなんだと、
茜ちゃんは教えてくれました。

家族写真を撮ることは、
今日という日を生きられた奇跡の姿を形に残すこと。

これからも、
かい君ファミリーはもちろん、
僕に写真を任せてくださる
すべてのご家族に感謝しながら、
1枚1枚、心を込めて家族写真を
撮り続けたいと思います。

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。